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20230324_ドミナの創作手帳について感想

  • ンノザキ
  • 2023年3月24日
  • 読了時間: 8分

更新日:1 日前

※2023/03/24 当時の感想です。

(Xポストのまとめ)


大好きなドミナについてさらに知る機会をもらえた事、本当に感謝


【前置き】

このお誕生日創作手帳シリーズは、石田氏が明記している通り、十和田氏と共作での公式見解ではなく二次創作であり、実際に根地さんが書いていた事実があるかどうかは「あったかもしれないけど、なかったかもしれない」くらいの認識にとどめています。

なので、この感想は「もしもあったとしたら、の感想」という前提です。


また注意事項として、BGM解釈に関連して攻殻機動隊について触れる内容も少し書いているのですが、自分は「攻殻について詳しい人間ではなく、ライトに原作が好きで映像作品もさらっと観ているだけの人間」なので、詳しい人が見たら卒倒する解釈があるかもしれません。その場合は本当にすまん!!


 

▼以下、感想本文


【イメージBGMについて】

この元曲は攻殻機動隊(アニメ版SAC)に使用されている曲で、自分は攻殻の原作が好きなタイプなのですが映像作品もそれなりに観ていたので、存じておりました。

そしてこの曲がBGMに選ばれたのは、「歌詞や原曲の背景など含めて合っていたからなのか、それとも、耳触りを重視していて内容は関係がないのかは不明」また「BGMは”根地さんがドミナをイメージしている曲”なのか、それとも”石田氏がドミナにチョイスするならこれという曲”なのかは不明」という前提がある上で、以下自分としての解釈です。


まず、タイトルである「where does this ocean go?(この海は何処へ行く?)」と聞くと、根地さんにとっての「海」はもちろんポジティブな意味はなく、いつか来るかもしれない全てを失う時の象徴…といったしんどいイメージであろうと思うのですが、この曲自体の「海」に込められている意味は、個人的には真逆な印象です。


歌詞ラストにも出てくる「It's time for me now to fly(私ももう飛び立とう) where does this ocean go?(この海は何処へ行く?)」は、攻殻原作1巻のラストの素子さんの「ネットは広大だわ」というシーンを彷彿とする、「この世はあらゆる可能性が広がっていて自由であり、自分はなんでもできる。この無限の可能性の海の中で、これから何をしようか?」と彼女が歩き出していく場面がオマージュされているように感じます。


(そして実際に一巻ラスト後は、素子さんは他の人達がなかなかできないような、自由な生き方をしていきます。そしてその生き方は一般的な他者から見ると簡単には理解しにくいものです(特にウェットな解釈が強い押井版映像作品だとより顕著かなと思うのですが)。しかし彼女はそれらに目をやる事なく、我が道を歩いて行きます。)


この曲自体は原作ではなくテレビ版SACの曲であり、全体的な曲調としてはSACのシリアスな世界観に沿った「正解のない世界に不安を抱えながらも、この雑多で広大な可能性の海に踏み出していく」という雰囲気が強いため、この曲を完全に愉快で明るい曲だとは思っていないですが、それでもこのオマージュが感じられるということは、無数に広がる可能性を楽しむ気持ちがある曲なのではないかな、と思います。


……という曲の背景を踏まえて、僕にとってこの曲における「海」には、そういったポジティブな印象を持っています。だから、わざわざこの曲を選んだと言うことは、このドミナと共にある「海」は呪いの象徴としての「海」ではないと感じます。


そして、僕が持っているドミナのイメージは「他者への怨嗟に塗れた人」や「愛を求めていて実は寂しい人」などではなく、「自分の中の”一番”が揺らがない人」です(別に美化ではなく、良くも悪くも、何より大事なものが検討の余地なく明確にある人というか)。


この曲が選ばれた事に、どんな意味があるのかもしくは無いのかは分かりませんが、もしも元曲のイメージが加味されているとするなら、「自身を主人にして奔放に生き、どこにでも行けるドミナは、ポンタルチアが崩壊した後も目の前に広がる未来に目を向け、広い可能性に踏み出していくのではないかな」と思うことができる、それを優しく語りかけてくるような選曲だなぁと感じました。


そして蛇足的にもっと言うと、根地さんにとっての海は「呪い」かもしれませんが、ドミナを通して見た海は「ただの広い世界」であることで、「自身の心に硬く存在している呪いはただひとつの真実などではなく、他の可能性だってたくさんあるのだ」と、いつか自分で気づく事ができるかもしれないという片鱗が、根地さんの中に既にちゃんとあり、その最初の一歩を象徴するようなきらめきも、ぼんやりと感じとれる選曲なような気がしました。



 

【最後の文について】

創作手帳にこのドミナの設定を書いた時、「ドミナのことは、わからない」ぽつりと一言だけ書かれたこの文は、脚本の完成時(あるいは遅くとも、いつになく何度も鏡の前で一人稽古をしていた頃)だったんじゃないかな、と思います。


「わからない」と、ひとことだけ残す彼は、しかし適当に取り繕った設定を書いたりはせず、わからないことに対し自覚的だった。そして、ただただ「向き合うという事」を遠くに置いて眺めている状態だったのだな、と感じました。


これは個人的に、めちゃくちゃめちゃくちゃ重要なのですが、この創作手帳を書いた時は「ドミナのことがわからなかった」頃、つまり「懺悔室の歌詞が、現在の歌詞ではなかった」頃なんじゃないかなと思います。なぜなら、懺悔室のフルVer.(特に二番)は、単純に彼女の外側をなぞっただけでは書く事ができない、なによりも自分が好きなエゴイストで誰よりも可憐な内面を持つ、彼女にしか出せない魅力を本当に本当に、芯からしっかりと書き綴ったものだから!!!!!!


僕は本当に心から懺悔室のフルVer.が大好きで、フルVer.が公開される前のゲームVer.だけ聴いていた時と比べ、フルVer.が公開された後のドミナへの印象や解釈はものすごく変わりました。その辺はことあるごとにXに長文をポストしてたので割愛しますが(そのうちテキストにまとめます)、根地さんもきっと、ドミナと向き合う前と後では、彼女への印象が大きく変わっているのではないかと思っています。


だから、きっと懺悔室の歌詞は本番直前で変えたんだろうなと思っているし(最初からこの歌詞は絶対に書けないと思われるので)、この創作手帳も、他の人もそうだけど歴史や設定がわりと大きな部分を占めている事から、脚本を創るにあたって最初に考えていたもの(少なくとも皆が役を自分のものにするより前)なんじゃないかなと思っているので、全員分に言えるんだけど本番を経た後の印象は、また変わったのではないかなと思っています。


冬公演はみんなに課題を用意して、それを乗り越えた先に創られる舞台、というのが意図的に織り込まれた公演でした。 その脚本を創った時に「わからない」と書いた、書くことができた根地さんは、だからこそみんなに用意したのと同じように、冬公演の課題として自分にはドミナを用意したんだな、という事を改めて実感しました。


本番も近くなった頃に向き合えていない事を白田君に指摘され、立花君に可能性を示され、そこでようやくドミナと向き合うことができたことがゲーム内で表現されていますが、彼女と向き合い演じる事ができた彼だからこそ、懺悔室のフルVer.の歌詞を書けたし、だからこそ銀賞を獲り、そして「僕はけっこう好きだよ、ドミナ」と言えたのだと思っています。


本番の後にもう一度彼女について考えた時、根地さんは手帳にどういうことを書くのかなぁ、と考え出して夜も眠れなくなったところで感想を終わります!!! 以上!!



 

3/26追記===


【彼女の生き方について】

この辺感じた部分を全然書いてなかったので、追記しました。


ドミナの眼帯について、ストレートに考えると蓬館時代のひどい環境のせいなんじゃないかと思ってて、もしその辺が創作手帳で出てきたら、ドミナの内面に関する解釈が変わる可能性もあるのかなぁと思ってたんだけど(例えば、その頃受けてきた仕打ちにより怨嗟をバネに生きてきた…とかね)、でも創作手帳でほんの僅かながらに明かされた雰囲気から察するに、彼女は過去を呪って生きるよりも、自身のために場面場面で色々な物をばっさり切り替えて生きてきたのかなぁという事が感じ取れてよかった。 (これまで書いてきたように、この創作手帳の時点では根地さんがドミナと向き合えていない状態であり、実際に内面についての記載はほぼ空白だけど、そういった中でもこういうニュアンスを感じたなという事)


一見すると彼女は単純に刹那的な享楽主義者に見えるけど、その実そうではなく、花なんていつか枯れると言う諦観を持ちつつ、自身の未来への努力を怠らなかったからこそポンタルチアの地位を掴み、境遇に対する不満はあれど過去に縛られず、自己肯定感を強く生きる彼女の人間性が大好きだし、懺悔室フルVer.の作詞含めて、最終的にはその役作りが出来たのがネジコクトなんですよ。


こんなに魅力的なジャンヌを創り出してくれてありがとう…ポンタルチア崩壊後も、あっさり別の道に歩き出して、楽しく暮らしていつか彼女の思う幸せを掴んでほしいよ……


【その他の蛇足】

・本名リズ、可愛いよぉ…(僕は綴りなどについてそういった考察に動員できる知識が本当に皆無で、リタスには海が関係しているなぁ…と言うこと以外、この辺はいろんな意味が込められているのだろうなと思う以上の事は分からないのですが…自身が演じるジャンヌにわざわざ海にまつわる本名を付けたのは、冬公演の課題と向き合う小さな1歩目を意識していたからかな、と思ったりもしました)

・目元の表情が見えないのは、この創作手帳を書いた時に根地さんがドミナについてわからなかったから、想像ができなかったのではないかな、と思った。


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